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愛用の種子島焼の酒器。
酒を満たした時、肌が赤黒く濡れ様々な色が現れる。
片身の月暈、黒い星々、垂れる夕闇。
満々と水が湛えられた水瓶のようでもある。
手で掬う。
そんな器の原点が手であった時の記憶が揺さぶられているのかもしれない。
少しばかり土から離れてしまった人間のそんな記憶。
酒を嗜む。
ほんの少し。
今日も酔うのにさほど時間はかかるまい。